エルサレムをイスラエルの首都とする米の認定撤回を求める国連決議案

Oz News投稿第一弾は一見オーストラリアとあまり関係ない記事ですが、ちょっと興味が湧いてので取り上げてみたいと思います。
ネット上で色々記事が読めますが、一部につきリンクを貼っておきます。

詳細は記事を参考にして頂くとして、超概要だけ要約すると、

  • 米トランプ政権がエルサレムをイスラエルの首都と認定(2017年12月11日)*
  • 国連総会の緊急特別会合が開かれ、エルサレムをイスラエルの首都と認定した米国の決定撤回を求める決議が賛成多数で採択した

では何に興味が湧いたか。

  1. 日本が、アメリカの怒りを買いかねないこのような決議案に賛成したこと。
  2. 対照的に、オーストラリアが投票を棄権したこと。

日本がアメリカの決定撤回を求める国連決議案に賛成

これだけで驚きですよね。よく「米国の犬」だとか、「未だに植民地」だとか言われることからすると。

中東和平という世界にとって重要な出来事に関して、間違っているものは間違っている、と言えた日本に、国際ニュースに関して久しぶりに誇りを感じることができました。

逆に言うと、中東和平と同地域国との関係は日本にとってそれほど重要なことである、つまり、石油の重要性を改めて感じさせてくれたニュースと言えます。原油の9割近くを中東諸国に頼っていますからね。

とはいえ一方で、対北朝鮮で日本は今ほどアメリカの協力を必要としている時期もないでしょうから、大変な努力が裏ではなされているはずです。日本政府には頑張ってもらいたいですね。

オーストラリアは投票を棄権

これに対してオーストラリアは投票を棄権。さて、いよいよオーストラリア国内の報道を見ていきましょう。

ABC News: UN rejects Donald Trump’s move to recognise Jerusalem as capital of Israel

長い文章ですが、オーストラリアによる棄権に関する部分の報道はすごく少なく、豪州国連大使Gillian Birdの言葉を短く紹介するのみでした。核心部分は

“どの国・地域も、(イスラエル‐パレスチナ)和平に向けたプロセスから隔離されるべきではない。従って棄権した”

という感じの発言ですね。

うーん、わかるような分からないような。

決議が採択されるとアメリカを追い込んでしまい、和平プロセスへの関与が弱まる、というような見立てなのでしょうか。やっぱりよくわかりません。

本ブログはエネルギー開発のEngineer的ブログですから、再度その観点から、「なぜ」を考察してみました。

こちらのグラフを見て下さい。少々データは古いですが、オーストラリアの原油輸入量推移(輸入先別量Break down付)です。

そうなんです。中東からの輸入が日本に比べて圧倒的に少ないんです。2010年以降は、アラブ首長国連邦(United Arab Emirates = UAE)が唯一の輸入先で、その割合も20%にも満たないことがわかります。(後、東南アジアからの輸入がほとんどなんですね、知らんかったー 汗)

つまり、豪州にとっては原油輸入の依存度も高くない地理的に離れた中東和平よりも最大の同盟国であるアメリカとの関係を重視した、という推論も一つ成り立つと言えます。

中国との関係が緊張していること(例えばこちら参照)もより米豪同盟重視へと走らせたのかな、なんて邪推もしてみたり。

以上、これではもちろん検証が全然足りませんが、今回のブログ記事をきっかけにオーストラリアと中東の関係というトピックと、オーストラリアのエネルギー政策について全然勉強不足と痛感しましたので、今後勉強して報告できたらと思います(こういう逃げの終わり方ばっかりな気が。。。)。

*Huffpostによると、

1995年には、議会でエルサレムをイスラエルの首都と認定する法律が成立し、大使館のエルサレム移転を求める条項が盛り込まれた。しかし、歴代の大統領は、6カ月ごとに移転を凍結する文書(ウェーバー)に署名し、移転を阻止していた。

また、毎日新聞でも、

米議会は1995年、大使館のエルサレム移転を認める法律を議決した。だが歴代の米大統領は、大使館移転は中東和平実現の障害になるとの観点から執行を凍結しており、トランプ政権も今年6月に執行を先送りしている。

とあることから、正確には「大使館移転容認決定」ですね。

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